作画コンセプト

タイトル：心経

平和公園には「平和祈念」と「慰霊」ふたつの面があるのではないでしょうか。
被爆した方と時間的に遠ざかるにつれ、「慰霊」の面は薄れてゆくのだろうと感じています。2045年を生きる誰かに、この一帯にはかつて確かに、幾多の「慰霊」の念が込められていたこと、それは2022年を生きるわたし達と関わるはずだった魂であったことを記しておきたいと思い「般若心経」を描きました。
左から横に読み進み、カープファンの鳩から始まり、カープファンの鯉で終わり。
見ている方に楽しんでいただきたいと様々な工夫を入れています。
周りには鯉と鳩とカタバミの葉を描きました。鯉は恋＝love、鳩は平和＝peace、カタバミはそれがあちこちに宿る様子を表しており、般若心経で印象的な「空」「色」「無」の3つの言葉にそれぞれ目印を付けたので、探してみて欲しいです。
全体には、互いに差し伸べる手を、文字の色で表現しています。
この壁画を見るあなたが、今ここにいない大切な誰かとも、一緒に見ている気持ちになっていただけるといいです。

プロフィール

広島出身。放送大学　教養学科人間の探求専攻卒業。1995年「街角花だより」でデビュー。
おもな著作は「夕凪の街　桜の国」（第8回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞、第9回手塚治虫文化賞新生賞）、「この世界の片隅に」（第13回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞）、「ぼおるぺん古事記」（2013年度古事記出版大賞稗田阿礼賞）。